院長の健康講座 1998年06月

「沖縄の食文化に学ぶ長寿の秘訣」

 現在世界一の長寿国は日本であります。そして日本の中では沖縄が最も長寿県であり、沖縄は世界一の長寿地域と言えるわけです。この世界一の沖縄の長寿の秘訣は何処にあるか、食文化を中心にお話しいたいと思います。

 今から50〜60年前までは、日本は文明国の中で最も短命でありました。1900年の日本の平均寿命は、男36才・女37才であり、この時の世界一の長寿国はニュージーランド、次いでオーストラリアで、すでに60才を超えていました。

 人生50年と言われるが、これが満足されたのは昭和22年のことであります。そして、この昭和22年を境に日本の50才の平均寿命が急激に伸びてきました。それは先ず乳幼児が死ななくなった、肺炎や腸炎など感染症で死ななくなった。国民病と言われた結核も治すことが可能になりました。脳溢血や心臓病も克服でき、最近では癌もかなり治すことが可能になりました。

 1970年代には世界の代表的長寿国のスウェーデンを追い越し、日本は戦後30年で数十カ国を追い抜いて男女そろって世界一の長寿国となりました。
 この長寿国となった理由は、戦前の食事は御飯に味噌汁・漬物を中心としていたのが、戦後学校給食がはじまりミルク・肉がどんどん入って来て、古い日本の食生活が変わってきたからです。これが沖縄では昔から実現していました。

 沖縄の食習慣は昔から豚肉を毎日食べていたのです。沖縄の豚肉の調理方法は、脂身を出来るだけ除いて長時間煮て鍋のうえに浮いた油を除いて食べる習慣があります、そうすると豚肉はまさに蛋白質の塊となります。
 更に豚肉の利点は、動物性蛋白質が非常に多く含まれていると同時にビタミンB1が多いことです。これは炭水化物の消化にも良いのです。動物性蛋白質を多くとると免疫を強くして感染症に罹りにくくなります。豚肉はまた脳卒中を防ぐ働きもあります。これらから、沖縄の食事は年寄りに最も良い食事といえます。

 次に沖縄の人は緑黄色野菜を多くとること、三番目に日本一塩分の摂取が少ないことです。沖縄には漬物を食べる習慣がありません。塩分を多くとる地方には高血圧・脳卒中が多く、胃癌の発生も少し多いと言われています。

 豚肉を多く取ると血中のコレステロールが増加すると心配されますがそんなことはありません。現実に肉を一番多く取る沖縄の人に心筋梗塞や脳卒中が日本一少ないのです。沖縄の老人には血液中のコレステロールは200から220ぐらいが一番多く、これぐらいの数値を保っている人が最も長生きしているようです。コレステロールが下がり過ぎると感染症に弱く、血管も弱くなります。

 沖縄の人が世界一の長寿である理由は以上のような食生活にあるが、その他戸外に出てよく運動すること・精神面で豊かにすることが大切で、沖縄特有の共同体があり、自然に昔からそうゆう生活習慣が良く保たれています。

 以上のことを少しでも取り入れて頂き、よい生活習慣を作って健康で長生きして頂きたいと思います。

1998年06月 元木健二